ホテルの各接客部門のうち、最も季節的な要因による繁閑差の小さい、比較的営業の安定した部門である。
ただし、ホテル内のレストランなどとの競争だけではなく、とくにホテル外のいわゆる町場のレストランなどの数は多くこれらの企業との競争も激しい。
この競争激化は販売価格の面でも明確に表れ、かつではホテル内のレストランなどは、グレードの高さを自他共に容認し前面に出した営業をしていたので、町場のレストランなどよりも一段高い価格設定をしていた。
しかし、激しさを増す競争によりホテルと町場の価格の壁は壊され、極端なケースではホテルの価格は町場レストランと同列もしくは下回るところさえ出てくるありさまである。
このような価格設定状態でありながら、ホテル側は従来のサービス・グレードを維持し、顧客の誘致を期待するため一層経営は厳しく苦しい運営を余儀なくされている。
従来から、ホテルのレストランは宿泊客のため「国際観光ホテル整備法」で“客室の収容人員に相応した規模の食堂があること“と規定され、レストランはホテルの営業に欠かすことがてきない施設として存在していた。
そして、レストラン単独の利益よりも、滞在ですでに利益を得ている宿泊客の便宜供与を優先していたようである。
近代ホテルの発達とともに、宿泊客のためのレストランから脱皮して地元客の誘致を目的に、多種多様のレストラン、バー、ラウンジなどの料飲施設を併設して利益の追求に転じた。
しかし、これらの料飲施設の中には利益率の高い宴会部門への導入口として、料飲営業の実態の宣伝機関的な役割を持たせ、サービス・グレードの割には比較的低い価格設定をしていたところもあった。
このようにホテル経営側のレストランに対する思想は、ややもすれば単独で利益を上げることよりも、ホテル顧客の育成に視点を置いた時期もあったことから、むしろ低めに価格を設定する傾向があるといわざるを得ない。
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