第1章 2-3-9 サービスの供給ルート(チャネル)には物理的ルートと電子的ルートがある

「流通業では、物財を工場から顧客の下に移動させるため、物理的流通チャネルを必要とする。
サービス・ビジネスでは、これとは異なり、電子的チャネル(放送サービスや電子振替サービスなど)を用いたり、あるいは、サービスの流通は物理的チャネルを使わずに生産、小売、消費を同一地点で行うことができる。
同一地点の場合は、サービス組織はサービス従業員のマネジメントに責任を負い、同じく、サービス生産に際しての顧客の行動もマネジメントする必要がある。
顧客の行動をマネジメントするのは、オペレーションをスムーズに進め、ひとりの顧客の無分別な行動が居合わせた他の顧客たちの不快を誘うような状況を避けるためである」
と最後に述べている。
物財すなわち工場で生産された生産物は、それぞれの業界特有の流通チャネルを通じて一次そして二次問屋に保管され、末端の小売店からの注文に応じその都度デリバリーされる伝統的流通システムを堅持している。
しかし、サービス・ビジネスの多くはこのような流通チャネルを経由せず、電子的チャネルによってサービスをデリバリーさせる。
これも物財とサービスの大きな差異であろう。
また、付随的にサービス・ビジネスの特徴として、流通ルートとは無関係に生産、小売、消費を同一地点で処理してしまう包括的な簡易性を、物財との違いとして捉えているのもおもしろい。
その場合サービス組織はサービス従業員のマネジメントに責任を持ち、併せて顧客の行動のマネジメントにも介入する必要性を説きながら、サービス・ビジネスの特性を明快にしている。
この特性は先に述べられた「他の人々の存在がプロダクトを部分的に形成することがある」という項の説明と重複しているが、同一地点で生産、小売、消費を日常業務としているレストランのサービス活動を具体例として見れば、非常に分かりやすい物財との差異として捉えることができる。

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