第4章 実践的マーケティングの展開 4.宴集会のマーケティング(予約径路) 2.業種別の分類とイベントのマーケット

各業種別団体の宴集会施設利用目的を分析すると、それぞれの業種ごとに一定のパターンによって統一された形態を示していることに気がつく。
なかでも招待会は、すべて各企業の販売促進活動そのものであるので、ホテルは各企業の販売ルートを把握しておくことが必要である。
ここで、各業種を形態別に分類し、それぞれの分類の中で発生するイベントを拾い上げながらマーケティングを考察する。

1.一般企襲
ホテル利用の多い業種は、食品、薬品、化粧品、電気機器、自動車、精密機械、出版、商社、保険などが利用頻度が高い。
しかし、原則的ながら経営状況によっては、すべての業種がこれに含まれると考えてもよいと思われる。
これらの企業が開催するイベントは主に次のようなものである。
*創立、開業、設立などの周年記念会
*社長、会長などの代表者の就任披露会
*事業関連(会社の合併、新製品発表会、社名変更など)の説明、
*新入社員の入社式
*忘年会、新年会
*代理店会
*展示会、ショウ
*表彰式
*セミナー
*慰安会
など。

2.エージェント
トラベル・エージェントは主に宿泊関連業務を取り扱うが、顧客が一般企業の団体の場合宿泊に料飲が伴うことが多いので、各種のイベント企画を代行する。
主なイベントとしては、
*取引先の招待会
*インセンティブ・ツアー(incentivetour)
優良取引先に対する報奨的慰安旅行がある。

3.各種団体
企業の同業種、同種の文化・スポーツ、福祉、慈善等の関係団体などで、宴会、イベントの種類が固定し、特定月に集中するのが特徴となっているので、ホテル需要が安定している。
そのため、国内経済が不況の時は、一般企業は宴会、イベントなどの開催に消極的になるが、需要の安定している各種団体はむしろ活発に見えるので、宴会セールスの最大のマーケットになる。
主な団体として、協会、組合、諸団体の連合会、華道・茶道・能楽など伝統的芸能・芸術関係の団体、その他ダンス・カラオケ愛好者などの趣味の会、医師・看護士など医療関係者の団体、ロータリークラブ・ライオンズクラブ・JCなどの社会奉仕団体、財界・経済的諸団体などなど非常に多彩な顔ぶれである。
これらの団体が開催するイベントは、総会、設立記念会、新年賀詞交換会、クリスマスなどの家族会、忘年会などの交歓・慰安会などが多い。

4.学校
わが国の教育制度の影響を受けて、毎年2月ー3月には卒業を控えホテルでは謝恩会が集中する。
その他、 PTA、教職員の懇談会、同窓会などが随時催される安定したマーケットである。
主なるセールス・ターゲットは大学、短期大学、専門学校、各種学校、予備校、高校、中学校、私立小学校、幼稚園などがあり、とくに女子を中心とした学校にウエイトを置いたセールス活動が活発である。
主たるイベントは、進学説明会、謝恩会、同窓会、 PTAの会合が多い。

5.官公庁など
首都圏では外国の賓客を招いたレセプションがメインのイベントになる。
その他記者会見、説明会なども行われている。
主なるセールス・マーケットは官公庁、公社・公団などの政府の外郭団体、大公使館・領事館、外国政府観光局などである。

6.その他(後援会事務所など)
国会・地方議会などの議員、歌手、タレント、野球・相撲などのスポーツ関係業界がセールス・ターゲットとなり、受章パーティ、励ます会、打ち上げパーティ、誕生会などが主なるイベントである。

宴会の種類

 

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