第1章 4-2 接遇サービスにおけるマーケティング

物財とは異なる性質を持つ接遇サービスは、形のない、保存のきかない、消費時に瞬間的に消えてしまう無形財を販売するマーケティングとなるため、具体的にどのようなものなのかをここでははっきりさせておきたい。
接遇サービスを主たる業務とするホテルを開設し経営するに当たって、新規に建物、設備を作り運営システムを導入することは、本来的な接遇サービスにおけるマーケティングとはいわない。
ホテルの本命のマーケティングは、将来的にこのホテルを円滑に経営するために、どのような商品を開発し、顧客に評価されるサービスを提供し続けて、計画通りの安定した運営を約束する「収入」を作り出すことなのである。
もちろんホテルのハードを決めるためのマーケティング活動は必要だが、一度ホテルを建設してしまえば以後は施設のリニューアルとか、大幅な改修工事をするまでは、この種のハードの関連するマーケティングは行われない。
一方で、開業以後のホテル運営を安定化させる「収入」を持続的に得るためのマーケティング活動は、はるかに時間的にも長く、量的にも多い重要な活動なのである。
「収入」は、なにしろ、顧客の心理的な「満足」を買うという目に見えない不確実な要素と、時として顧客の衝動的な動機によって購入する不安定な購買機会により支えられていることを、接遇サービス提供者たるホテル側は肝に銘じておく必要がある。

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