住宅大手が海外シフト-海外で日本の住宅展開

昨年から今年にかけて、日本や全米他地域からのダラスへの進出はめざましいものがあります。その中でも、新しい業界が入ってきたのは、不動産業界。といっても、不動産の転売ではありません。アメリカで日本の住宅メーカーが住宅を建築するプロジェクトが広がっているのです。大和ハウスが、ダラスにも進出し、現在は主にアパートを中心にマーケットを獲得、拡大しようとがんばっています。実際、大和ハウス工業は海外投資を倍増させ16年度から3年間で1千億円以上を投じる計画です。また、積水ハウスは2020年度までに国内勢で最大規模の2400億円を投じオーストラリアで6200戸の住宅を供給する予定です。

この住宅ブームは、日本企業にとってもまたとないチャンスと思うのですが、海外で成功するためには、その土地の特徴や文化を十分知る必要があります。例えば、テキサスでは土地が比較的大きいため、カリフォルニアやニューヨークに比べてもっと大きな作りになっています。日本の細切れになった部屋の配置や、スペースの有効活用はこのダラスエリアでは人気はないかもしれません。内装もかなり重厚でデコラティブ、派手なものを好む人も多く、ホームデコレーションが趣味という主婦の方も多いです。もし、戸建て住宅を対象に展開するなら、そういった趣向を十分考慮することが必要ですが、日本が果たしてアメリカのまねをして成功するか?と疑問が残ります。

もし、日本の良さを生かすなら、私がいいなと思うのは、「禅」や「和」を主にした住宅です。例えば、日本の京都の枯山水のような、シンプルで精神を落ち着かせることのできる空間。以前、私が日本でとった写真を何枚か見せたところ、一番人気のあったのは、京都のあるアトリエ内にある茶室のような待合の空間(生け花があり、畳の間が真ん中にあって、七輪や座布団が置いてある)の写真でした。アメリカ人も意外とこういった精神を落ち着かせてくれる空間を必要としているのかもしれません。ヒノキのお風呂がある家なども、もしかしたら、人気が出るかも知れません。実際、ダラスに大きな韓国スパがあり、これが結構人気なんです。ロシア人や黒人、ヒスパニックの人たちもたくさん利用しています。なので、もしかしたら、かえってアメリカ風にアレンジしない純日本風のものをふんだんに取り入れた住宅、というのも意外と需要があるかも知れないと思うのです。
今、こっちに進出してきている住宅企業は、需要に基づいた海外展開で、安定成長が見込める地域に集中投資しているということですが、ただの「投資」としてなら長くは成長しない。現地の人を癒す場所を与えることができて、それが企業の成長として戻ってくるのではないでしょうか。

参考サイト:
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ02HVG_S5A001C1MM8000

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