第6章 商品開発 5.商品の価格設定 (3) ホテル各部門の販売価格決定パターン:1.宿泊部門

ホテルは業態が装置産業てあり労働集約型産業の典型的な部門が宿泊てある。
他産業と異なりいろいろな制約を受けながら、物財ではなくサービスという名の施設の利用権を販売する特殊なビジネスでもある。
ホテルおける宿泊部門は、ホテル本体に占める延べ面積が最大て投資額も大きい。
とくに注意すべきことは、投資額は建築費と機械設備、家具、装飾品で占められ、不動産業的性格が強く施設設置機能にサービスという付加価値を加え時間単位で、高品を売るので、今日売りそこなった商品(客室)は明日売ることはできない。
加えて、保有する客室に限度があるので、客室の稼働が最大限に達しても値上げしない限り売上げを増やすことはてきない。
このような商品の価格設定となると、製造原価に相当する額として初期投資額における客室数と各部屋の広さ、内装、家具、設備などのグレードから、尚法上の耐用年数を勘案して各1部屋当たりの単価を把握する。
これにランニング・コストとして人件費、客用消耗品費、水道光熱費、客室管理費などの営業費を加えたものが原価になる。
そしてさらに利益を加えて販売価格となるが、現在ではこのような算定方法はあまりとられていない。
自社所有の土地、建物でホテル営業を行うより、不動産所有者から賃借して営業するケースが圧倒的に多いからである。
この場合は坪当たりの賃借料が計算の根拠となる。
しかし、現在のホテル業界では、理論的に販売価格が算出されたとしても、その価格がマーケットの需要志向に合っているか、競合他社との競争に耐えられるかなども検討しなくてはならない。
結局、東京を除いた地方都市では、価格の市場性が最優先して価格決定を行う傾向がますます顕著になりつつある。
その分ランニング・コストを下げる工夫をした上で、営業のロスを生じさせない集客が必要になり、一段と厳しい営業活動が要求されてくるのである。
それゆえに集客が思い通りにいかない地方都市のホテルでは、その影響をまともに受けて原価を度外視した営業が強行され、ますます経営を圧迫することになる。
赤字経営から脱却できなかったホテルは、倒産、吸収合併、営業権の移譲などによって新陳代謝が繰り返されている。

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