1.本章のねらい
まず、ホテル全体で行っているマーケティングの実情を説明し、ついでホテルを形成する各部門のマーケティングの基本的な手法を部門別に詳述して、ホテルのマーケティングの基本的な手法を述べる。
2.マーケット・セグメンテーション(市場細分化)
マーケット・セグメンテーションとは、マーケットを細分化して同質のニーズを持つものを集めていくつかのグループに分けることである。
この作業を行うことにより、ホテルの利用頻度の高い、そして顧客として取り込める見込みのあるグループを選別することが容易になる。
これにより、販売戦略が明確になりセールス・ターゲットを較り込むことができる。
顧客がホテルを利用する時、顧客のホテル利用動機や利用日的それに消費金額などは、ホテルの営業部門(宿泊、レストラン・バー、宴集会、婚礼、その他)によってそれぞれ異なり、同時にマーケットも違ってくる。
したがって、セグメンテーションの切り口もさまざまに変化する。
例えば、個人的な属性である年齢、性別、職業、家族構成、趣味、地域性を重視したエリア・マーケットのセグメンテーション、業種別、法人別によるセグメンテーション、予約を経由したブッキング・ソースによるセグメンテーションなど、あらゆる角度からの検討を行わなければならない。
セグメンテーションの目的は次のように整理される。
(1)重点マーケットの選定
利用度の高いマーケットに絞り込むことが、成果を上げる。
(2)セールス・ターゲットの選定
個々の企業、個人を具体的に選定する。
(3)新しいマーケットの開拓
見込みのある、今後期待できるマーケットを選定する。
(4)顧客ニーズに応える
顧客が求め、関心を持っているマーケットを選定し商品開発をする。
(5)顧客の固定化と有望顧客の開発
顧客とのリレーションシップを深め、顧客のロイヤリティを構築する。