回答や情報の編集が終われば、販売活動方針を策定すべく、マーケティング・リサーチ活動の総仕上げとなる報告書を作成するために、これらを集計し分析を行わなければならない。
一般的に集計はクロス集計という手法が広く使われている。
eクロス集計
クロス集計とは、2つの調査項目の間の関係を分析し、因果関係を明らかにするもので、通常は調査によって得られた年齢、性別、所得などといった個人的属性と、商品の特性(種別、価格、グレードなど)を交差させて、表示された現象を分析し、販売戦略の基本構想を固めるものである。
一例を示せば、次頁の図は日本自動車工業会のクロス分析表を部分的にピック・アップしたもので、個人の属性により購入した車種の違いが一目瞭然になり、今後の自家用乗用車の製造、販売活動に重要な指針を与えている。
上図から読み取れることは、
①自動車のクラスが下がれば下がるほど女性の購入率は高くなる。
②自動車全体の購入率は女性が20%程度ながら、軽自動車になれば女性の購入率が
50%台に跳ね上がる。
③女性の自動車全体の購入率は20%にすぎないが、そのうち有職者になると未婚、既婚併せて2/3を占めており、所得のあるまたは社会進出している女性の購入率が高いことと、自動車の保有率は密接な関係にある。
④既婚女性の軽商用車の保有率が高いことは、荷物が積みやすい利便性を評価したものと推測される。
⑤24歳までの若い層と29歳-39歳の中年層の保有率は、自動車全体では他の年代の倍になっており、経済的余裕との関連が濃厚である。
……などを知ることができる。
これにより、自動車のクラスと販売ターゲットの相関関係の把握が容易になり、標的を絞った確率の高い販売戦略を設定することができる。
この事例をすべての商品やサービスに応用して販売戦略を立て、マーケティングの成果を実証することが望まれる。