第2章 4-2-1 無形財とは

無形財(無形の価値)といっても、その内容は非常に広範囲にわたっている。その典型的な事業として、分かりやすいのが「ものを運ぶ (いわゆる輸送)」、「人を運ぶ(交通)」といった事業活動である。
輸送、交通は無形財提供の典型的形態のひとつであり、それは物財や人を運ぶという「移動の価値の創出」を内容としている。
同じ移動の価値の創出でも運ぶ対象が物財や人でなく、文書、映像、人の声といった「情報」ということになれば、これらを扱う事業は「通信」となる。
情報の創出と移動は単に通信サービス業だけではなく、マーケテイング会社は、市場情報を中心としたいろいろな情報の収集、分析、整理、評価の活動を専門に行い、新聞社、出版業、放送局などは、さらに公的、公共の色合いを濃くして、情報の創出と流通を行っている。
また「移動」ではなく「保管」、 「貯蔵」となれば、物財や人を一定期間どこかにとどめることによって価値を生み出す「時間的効用の創出」となる。具体的に述べれば、物財の保管・貯蔵を行う事業は倉庫業であり、人の保管(つまり宿泊)であれば、そのために施設、設備、付帯的サービスを提供する事業はホテル、旅館業などになるのである。
社会に提供される無形財の中には、個人、企業、あるいは、官公庁その他の法人から委嘱を受けて、特定の活動を委嘱事業者に代わって行う「代理行為」、「代行行為」といったものも含まれる。
広告代理業、保険代理業、旅行代理業などがこれに該当する。保険、銀行、証券等の金融機関が提供する給付物も「金融」という一種の無形価値である。
高度に発達した今日の経済の仕組みのもとでは、有形財(物財)の種類や形態も非常に多いが、無形財の「サービス」もこのように具体例を出したら際限ないほど多種多様である。
しかもある種の「サービス」 (金融的サービス、情報的サービス)はそれぞれ複雑な形で流通、循環している。

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