第2章 3-1 精神的なあり方としての「サービス」

われわれが「サービス」という用語から受ける最も強い印象は、ボランティア活動、などの奉仕活動で代表される「奉仕」という概念を意味する行動ではないだろうか。
これは肉体的労働とか、専門技術の提供、あるいは知識や知恵の活用といった形で、何か他人の役に立つ行為をすることで、社会または特定の個人に報いることを意味している。
自己の利益よりまず他への貢献を重視するという精神こそ、 「サービス」の本質というべきである。
しかし、純粋に報酬は一切求めず、貢献そのものに満足ずるさわめて潔癖な奉仕の精神が主流と考えられがちだが、他への貢献の結果報酬や謝礼を得たりすることも、同時に存在するという考え方も許容すべきであろう。
無報酬で他に貢献するという精神はたいへんに貴重なものであるが、個人にしても、企業にしても何らかの仕事(労働給付)をする場合、給与や利益を前提とすれば「サービス」精神は存在しないと決めつけられると、奉仕の精神は非常に小さな限定的な範囲に押し込まれてしまう。
これでは奉仕とか貢献といった行動自体が消滅してしまう危惧すら感じられる。
だから、個人でも、企業でも何らかの仕事をする時、給与や利益が伴っても、それに携わる人々が心から「他に喜んでもらうため」と思う意識を持って仕事をすれば、奉仕は立派に存在する。反面、口では奉仕を誇張しながら、実際は「儲け」や「稼ぎ」のみを追求することに専念している欺瞞的な姿もよく見かける。
要は奉仕の受け手が「奉仕をしてくれた」と感じたかどうかが問題であって、提供者の行為から受け手が「奉仕」を感じてくれる技量、経験、知識、態度などを提供者が受け手に与えたかが問われることになる。
あくまでも「奉仕」は提供者が誇張したり判断することではなくて、受け手が評価する問題である。ここに「サービス業」の永遠のテーマがあるのである。

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